void

ぼくはラーメンの味がわからない
いや正しく言えば、ラーメンの味の違いがわからない
しょうゆラーメンの味、みそラーメンの味、ってことはわかるんだが、
どのくらいおいしいしょうゆラーメンなのか?みそラーメンなのか?ってことがまったくわからない
正直に言ってしまうと、カップラーメンを器に入れて出されてもきっとわからない
どのラーメンもだいたいおいしいと思ってしまうし、おいしいなあ、で感想は終わりだ
世間のみなさんがあのラーメンが一番うまいとか、いやあそこのほうがうまいとか言ってるのを聞いて、
この人たちは記憶力の天才なのだろうかと思ってしまう
昨日の夕ごはんのメニューも覚えていないのに、どうして3ヶ月前に食べたラーメンの味を覚えていられるのか?
永遠の謎だ


それと同時にぼくは映画のおもしろさもわからない
これも正しく言えば映画のおもしろさの違いがわからない
たぶんどんなにつまらないという映画を見たとしても、あるいはおもしろい映画を見たとしても、
あー面白かった、で終わりだ


われながらなんというか人生に対して不誠実だと思うし、
だからなんとなく生きづらかったりするのだろうかと思った




そのかわりといってはなんだが、ぼくは音楽の好き嫌いはかなりあると思うし
それがいくつかある、この世界とのつながりの、重要なひとつだと思っている
わりとあやういバランスでぼくはこの世界とつながっている



そしてぼくはこの進行がどうしようもなく好きだ
愛しているといっていい